栃木県鹿沼市長選が9日、投開票され、無所属新顔で前県議の松井正一氏(58)が、無所属新顔で歯科医の小林幹夫氏(70)=自公推薦=を破って初当選した。当日有権者数は7万8411人。投票率は52・72%(前回55・59%)。

 午後9時半過ぎに当選が決まると、松井氏は鹿沼市内の事務所で支持者と笑顔で握手。「選挙戦で掲げたプロジェクトの実行に向けて市民と共に歩んでいきたい」とあいさつした。

 松井氏は民主党や立憲民主党の県議、県連幹事長を長く務めた。陣営には立憲や連合栃木の支援者のほか、共産や一部保守系の市議も入り、支持層を広げた。

 今改選で引退を表明した現職の佐藤信市長も民主党県議や党県連幹事長を経て4選しており、松井氏は後継の位置づけだった。選挙戦では「佐藤市政をベースにしながら発展を」などと訴えた。

 10日に記者会見を開いた松井氏は「県議時代の得票だけでは当選ラインには届かず、かなり厳しい選挙戦になると思っていた。ただ、自民支持者の方からも『今回は(自民系を)推せない』と言う声をいただいていた。その理由は(自民党派閥の)裏金事件だった」と話した。

 前自民党県議の小林氏は市政の転換姿勢を明確にし、「市内の閉塞(へいそく)感を打破しないといけない」と強調。自民党所属の衆院議員、県議がまとまって支援に入るなど保守層の結束を呼び掛けたが、自民党派閥の裏金事件で逆風となる中の選挙戦となり、届かなかった。(重政紀元)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。