埼玉県朝霞市議会は6月定例会初日の10日、議員や候補者が他人の名誉を毀損(きそん)したり恐怖を与えたりするおそれのある言動を禁じる「市政治倫理条例」案と、議員が逮捕された際に報酬を一時的に支給しない条例案を賛成多数で可決した。また、「つばさの党」の外山麻貴議員(52)に対する問責決議案を賛成多数で可決した。
いずれも4月に実施された衆議院の東京15区補欠選挙で、党代表や落選した元候補者らが逮捕されたつばさの党の政治活動が念頭にある。
外山議員は全国で唯一のつばさの党所属の現職議員で、32人が立候補した昨年12月の市議選(定数24)では全体の3番目の得票で再選した。しかし、その選挙運動をめぐり、駅前に居続けることで他の候補者が街頭演説できなくなるなどのトラブルがあり、市民から選挙管理委員会に苦情が寄せられていた。
市議会初日のこの日、政治倫理条例と議員報酬の一時差し止めの条例が議員提案された。議長を除く23人で決議し、同市議会の4会派に所属する計20人が賛成。外山議員のほか、会派に属さない2議員が反対した。
問責決議案は、二つの条例案の可決直後に緊急提案された。決議案では、面前で拡声機を使って他の候補者の演説を妨害したり、他の候補者の選挙カーをつけ回したりする行為を挙げたうえで、外山議員について「つばさの党による組織的な妨害行為に対する反省が見られない」などと指摘した。
外山議員は、つばさの党や自身の行動について「質問をしにいったのであって、妨害行為ではない」などと弁明したが、決議案は議長と、自身の問責決議には議決権のない外山氏本人を除く21対1の賛成多数で可決された。(抜井規泰)
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