9月の自民党総裁選で「ポスト岸田」候補の1人として小林鷹之・前経済安全保障担当相(49)の名前が党内で浮上している。これまでに総裁選に立候補経験のない「新顔」の擁立で、刷新感を演出し、裏金事件による党勢低迷を打破する狙いだ。

 当の小林氏は18日、文芸春秋のオンライン番組に出演。総裁選出馬の意欲を問われたが、「ある」とも「ない」とも答えず、「いつか総理として、国のかじ取りをやっていく覚悟で政治の世界に飛び込んだが、今は政治家としての能力を高めていくことに尽きる」と述べるにとどめた。

 小林氏は財務官僚を経て2012年に衆院千葉2区で初当選した4期生で二階派所属。21年秋に発足した岸田政権で初代経済安保相として初入閣を果たした。党内では実務派に位置づけられているが、世間的な知名度は低く、総裁選の常連の石破茂元幹事長や、河野太郎デジタル相らに遠く及ばない。

 小林氏の擁立論の背景には、党内の人材の豊富さを対外的に示そうという思惑がある。二階派のベテランは、その役回りには小林氏がうってつけとみて、「自民の層の厚さもわかる」と期待する。

 岸田文雄首相の求心力低下が甚だしく、秋の総裁選は、石破、河野両氏のほか高市早苗経済安保相、野田聖子元総務相らの多数の立候補が取り沙汰されるなか、「新顔」の対応にも注目が集まりそうだ。(小木雄太)

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