陸上自衛隊の上官によるパワーハラスメント(パワハラ)を匿名で公益通報したところ、自身が通報したと特定された上、不利益な取り扱いを受けたとして、北海道内の現役自衛官の50代男性が20日、国に慰謝料など220万円を求めて、札幌地裁に提訴した。

 訴状などによると、男性は2021年4月、当時所属していた陸自東千歳駐屯地=千歳市=の上官によるパワハラを陸上幕僚監部の担当窓口に匿名で通報した。翌5月、窓口から男性の所属部隊へ通報内容が原文で送られ、加害者にも通報が知られることになったという。

 男性は他の上官らから、自身が通報したことを認めるよう強要された上、「通報というテロ行為をする者を許すわけにはいかない」などと謝罪を求められ、別部隊への異動を示唆されたという。

 原告側は、男性の通報が公益通報にあたるとして、陸自の対応は公益通報者の保護などを定めた防衛省の訓令に反し、違法だと主張。この日、会見を開いた男性は「誇りを持って職務に励んできたが、パワハラを通報したところ組織ぐるみの報復を受けた。みんなが安心して働ける組織に変わってほしい」と訴えた。

 陸上自衛隊は「訴状が届いた時点で内容について関係機関と検討し、適切に対応する」とコメントした。(上保晃平)

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