通常国会は21日、事実上閉会した。岸田文雄首相は同日夕の記者会見で、物価高に対応する経済対策を2段階で打ち出すと表明。「引き続き、道半ばの課題に結果を出すよう努力する」とも述べ、今秋の自民党総裁選の出馬へ意欲を示した。ただし、内閣支持率が低迷する中、退陣を求める声は党内からも相次いでおり、再選への道のりは厳しさを増している。

 今国会の最大の焦点となった「政治とカネ」をめぐる問題では、改正政治資金規正法が成立したものの、抜け道や先送りの検討課題の多さが指摘された。

 首相は「実効性のある具体的な制度ができた」と成果を強調。そのうえで「国民に『まだまだ不十分だ』という指摘があることは謙虚に受け止めたい」とし、早急に協議を進めると語った。

 一方、国内経済の現状について「新たな成長型経済に移行できるかどうか、正念場にある」との認識を示し、物価高を上回る所得を確実にするため、さらなる対策を実施するとした。

 具体的には、5月使用分で終了した電気・ガス料金を引き下げる補助金を、8月から3カ月間再開。ガソリン補助金も年内に限り継続する。さらに、秋のとりまとめを目指す経済対策で、年金世帯や低所得世帯への新たな給付金を検討。学校給食費の負担軽減、農林水産業や観光業向けの支援策も調整する。

 憲法改正については、「時代の要請に応えて改正を考える機会を国民に提起することは、政治の責任だ」と、改めて意欲を示した。だが、「総裁任期中に改正を実現する」としてきた点は「全力を尽くし、責任を果たしていく姿勢を維持する」と述べるにとどめた。(笹川翔平)

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