東京都知事選と同じ7月7日に投開票される都議補選足立区選挙区(被選挙数1)は、自民党都連幹事長を務めた高島直樹都議の死去(2023年10月、享年73)に伴って実施される。自民党と立憲民主党のいずれも新人が立候補を表明し、一騎打ちとなる見通しだ。(押川恵理子)

◆自民と立民の新人が一騎打ちの見通し

自民には派閥パーティーの裏金事件によって逆風が吹いている。ただ、足立区を含む都東部の城東エリア(足立、葛飾、荒川、台東、墨田、江戸川、江東区)は保守地盤が厚く、都議会で立憲民主党の議員はゼロ。両陣営とも厳しい戦いを覚悟している。 立候補を表明しているのは、自民党新人で会社役員の榎本二実子氏(47)と立憲民主党新人で区議の銀川裕依子氏(38)の2人だ。

◆裏金余波 自民党員も「今回は勘弁を」

「この国の将来を間違いなく決める戦い」。6月16日に足立区役所庁舎ホールであった榎本氏の総決起集会で、自民の武見敬三厚労相(72)が集まった約300人に支援を呼びかけた。朝日健太郎(48)、生稲晃子(56)の両参院議員も応援にかけつけた。選挙戦が初めてとなる榎本氏は「普通の私が意見を言える都政を」と訴えた。

総決起集会の会場に立つ榎本二実子氏=6月16日、東京都足立区で(陣営提供)

榎本氏を支える選対の足立区議会自民党幹事長の鹿浜昭氏(67)は「銀川さんは区議選でトップ当選された。相当厳しい戦いになる」と話す。足立区の有権者数は約57万人。投票率が50%ならば14万3000票超を獲得できなければ勝てない。自民区議13人が選挙を支えるが、裏金事件の影響は大きい。党員からも「今回は勘弁を」といった声が寄せられているという。

◆6.8万票 vs 1.8万票 強固な保守地盤

昨年5月の足立区議選では、自民が擁立した19人のうちベテラン区議ら7人が落選した。逆風下にはあるものの、昨年の区議選の得票数をみると自民候補は計6万8200票を獲得し、銀川さんの9160票を含む立民候補の計1万8000票を圧倒する。6月19日には公明会派(13人)に榎本さんの支援を求めた。自公の得票数を合わせると12万票を超える。 ただ、榎本氏側は都知事選と連動した選挙活動が難しい。自民党都連は都知事選で現職の小池百合子氏(71)を支援するが、今回の都議補選では小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」候補と競合する選挙区があるためだ。都議会の勢力は自民27人、都民ファ25人と張り合う。都議補選の結果次第では都議会第1党の座から転落しかねない。

◆区議選トップ当選 流れに乗れるか

一方の立憲民主党の銀川氏は、区議選で2期連続のトップ当選を果たしている。同党都連から1月に出馬を打診され、5月末に決断した。今月21日には最後の本会議代表質問に臨み、支持者が駆け付けた。都議選は2017年に次ぐ挑戦で、「次の東京をつくるために風穴を開けたい」と話す。

街頭に立つ銀川裕依子さん=6月16日、東京都足立区で(陣営提供)

銀川氏の選対事務局長を務める荒川区議の鬼頭昭行氏(31)は「三つの衆院補選、目黒の都議補選で勝利し、流れが来ている」とみる。その流れに乗り、今回の都議補選でも、裏金問題の追及や古い政治からの刷新を中心に訴えていく方針。都知事選に立候補している前参院議員の蓮舫氏(56)との合同街宣も検討中で、都知事選との相乗効果を狙う。

◆立候補予定者(五十音順)


榎本二実子(えのもと・ふみこ)氏 会社役員 自民
銀川裕依子(ぎんかわ・ゆいこ)氏 区議 立民 

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