大阪府の吉村洋文知事は27日、特殊詐欺の被害を防ぐため、金融機関などに対してATMでの携帯電話の使用を禁止させることなどを義務づける条例改正を目指す考えを示した。来年の2月府議会での審議を目指しており、実現すれば全国初だという。
府は、特殊詐欺対策について定めている「大阪府安全なまちづくり条例」を改正し、金融機関に高齢者がATMで携帯電話で通話することを禁止させることや、不自然な入出金があった場合の通報を義務づけることを検討している。罰則は設けない方針。
また、コンビニなどでプリペイドカードを購入させる手口の詐欺が起きていることを踏まえて、高齢者が購入する際に店員による声かけ確認を義務とすることも盛り込みたい考えだ。
府によると、こうした対策を「義務」として条例に定めたものは他の自治体にも例がないという。昨年1年間の府内の詐欺被害件数は2656件(被害総額約36億6140万円)と過去最多で、さらなる対策強化が必要だと判断した。今後、審議会を設けて専門家から意見を聴き、関係業界などとも調整を進めるという。
ただし、どのように通話を禁止させるかなど具体的な制度設計は未定。対策に必要なコストは金融機関などの事業者が負担することを想定しており、業界との調整は難航する可能性もある。
吉村氏は記者団に「自分たちのお父さん、お母さん世代が一生懸命現役時代に仕事をしてためた老後の資金をだましとられるのは、卑劣な犯罪で許せない。より踏み込んだ条例が必要だ」と語った。(野平悠一)
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