「1000日超えれば大総理」とは、岸田首相の側近が昨年から言い始めたフレーズだ。自民党総裁再選を確実にする手段として首相が衆院解散を狙っているとの観測が絶えないため、「1000日やれば十分」と首相の野望を打ち消す狙いがこもっていた。

昭和末期から平成のスタート時に首相を務めた竹下登は「歌手1年、総理2年の使い捨て」という言葉を残した。日本の首相の在職期間の短さを自虐的に表現したものだ。

実際に戦後の歴代首相在職日数ランキングを見ると、通算3188日(8年8カ月)の安倍晋三、2798日(7年8カ月)の佐藤栄作、2616日(7年2カ月)の吉田茂を別格として、1000日を超えた首相は他に4人いるだけだ。数字だけを見ると、足元がふらつく岸田首相も「長期政権」の部類に入ったことになる。

同じ議院内閣制の国でも、「在職10年首相」が珍しくない英国やドイツと比べると、日本の首相は在職期間が大幅に短い。これは日本の政治権力ゲームが与野党間よりも、「万年与党」である自民党内の競争を軸に展開されるためと考えられる。

自民党総裁の任期は長く「2年」しかも「連続2期まで」に抑えられてきた。在職2年程度が多く、1000日超えの首相がなかなか登場しなかった理由がここにある。小泉政権時代に任期が「3年」に伸び、安倍政権時代に再選規定が「連続3期まで」に改められた。こうなると、やはり総裁に再選されないと「長期」とは呼ばれないかもしれない。

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