▼日本の脱炭素支援 温暖化ガス排出の実質ゼロの目標を掲げ、経済・社会を変革するグリーントランスフォーメーション(GX)に取り組む新興・途上国を対象に、日本が官民を挙げて支援する。日本企業にとって蓄電池や水素技術などの強みを生かし、現地で新規ビジネスを展開できる。政府も財政面や相手国への規制緩和の働きかけなどで後押しする。

岸田文雄政権はアジアや中東、南米などとの関係構築で、脱炭素を主要な協力分野に位置づける。東南アジア諸国連合(ASEAN)9カ国やオーストラリアとは「アジア・ゼロエミッション共同体」(AZEC)を立ち上げた。電力に限らず、運輸分野なら再生航空燃料(SAF)の供給網づくりを目指す。産業分野では日系企業が進出する東南アジアの工業団地で使う電力を再生可能エネルギーに切り替える。

エネルギー自給率が低い日本は早急な石炭火力発電の廃止に慎重だ。脱炭素でも「多様な道筋」を重視する。欧州のように地域横断で送電網をつないで効率的に再エネを確保するのが難しい事情は日本も東南アジア各国も同じだ。脱炭素と経済成長の両立をめざす立場で歩調をあわせ、国際社会での議論を主導する狙いもある。

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