旧優生保護法を巡る最高裁判決を受け、原告らと面会し、要求書を受け取る加藤こども政策相㊧(4日午前、こども家庭庁)=共同

障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法を憲法違反とし、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、加藤鮎子こども政策担当相は4日、こども家庭庁で原告の一部と面会し「多くの方々が心身に多大な苦痛を受けた。政府として真摯に反省し心からおわび申し上げる」と直接謝罪した。

こども庁は旧法を改正した母体保護法と被害者への一時金支給法を所管する。加藤氏は「違憲、違法との最高裁の判断を重く受け止めている。まずは確定した判決に基づく賠償を速やかに行う」と述べた。原告らは全面解決に向けた基本合意の締結などを求める要求書を手渡した。

こども庁幹部らとの意見交換で、仙台訴訟の飯塚淳子さん(仮名、70代)は「長い間大変な思いをしてきている。早く解決するようにしてください」。東京訴訟の北三郎さん(仮名、81)は「やっと昨日、光が訪れてきた。私の折り返し地点だと思う」と話した。

要求書では①首相による直接の謝罪や国会における謝罪決議②全被害者に対する補償法の制定③再発防止や偏見差別の根絶に向けた施策の実施―などを求めている。

最高裁大法廷は3日、障害のある人らが国に損害賠償を求めた5訴訟の判決で賠償責任を認定。「国を免責するのは著しく正義・公平に反する」とし、不法行為から20年の経過で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しなかった。

岸田文雄首相は3日、判決を踏まえ、補償の在り方について早急に結論を得るよう担当閣僚に検討を指示。原告らと面会する方向で調整することも明らかにした。〔共同〕

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