岸田文雄首相は5日、経団連が都内で開いた「アジア・ビジネス・サミット」で講演した。アジアで二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する「CCS」や、CO2を排出せず発電や燃焼に利用できる水素分野で協力するための基準整備を進めると表明した。

第13回「アジア・ビジネス・サミット」であいさつする岸田首相(中央。5日午後、東京都内)=共同

2023年に日本や東南アジア9カ国、オーストラリアで「アジア・ゼロエミッション共同体」(AZEC)を発足させたと紹介した。秋にラオスで第2回首脳会議の開催を調整し「今後10年を見据えた具体方針を関係国で合意する年にしたい」と述べた。

電力、運輸、産業の各部門で協力の枠組みを立ち上げると提案した。日本政府が資金を拠出する国際シンクタンク「東アジア・アセアン経済研究センター」(ERIA)について「けん引する機関となってほしい」と話した。

サプライチェーン(供給網)におけるCO2排出量の可視化に向けた枠組みや、排出量取引のルール、水素やCCSの基準を挙げ「アジアに一大脱炭素市場を創りだし、世界中の投資を呼び込んでくる」と強調した。

CO2を安定的に貯留するための計測や評価方法の基準をめぐっては日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がガイドライン作成を検討する。

首相は人工知能(AI)に関して日本語で大規模言語モデル(LLM)を開発しているスタートアップを挙げ「他のアジアの言語でLLMを開発することにも貢献できるはずだ」と指摘した。

ELYZA(イライザ、東京・文京)がタイ語のLLMをつくり、両国の企業をマッチングするのに活用する計画があると明かした。

「シンガポールやマレーシア、ベトナムなどの国々の主な企業と日本のAI企業の連携を促していく」と言明し、政府として支援する考えを示した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。