東京都知事選は7日投開票され、無所属現職の小池百合子氏(71)が3選を確実にした。東京新聞の出口調査では、有権者の4割程度の支持を得た。本紙は調査結果や取材を加味し、いずれも無所属新人で、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、立憲民主、共産などの各党が支援した前参院議員の蓮舫氏(56)らは及ばないと判断した。(三宅千智)

◆小池氏、政党色を出さず「公務と選挙活動の二刀流」

小池氏に代わってYouTubeで情報発信する「AIゆりこ」

 選挙戦で小池氏は「公務と選挙活動の二刀流」を宣言。学校給食センターやダム、都立病院など現場視察を重ねた。街頭演説では、18歳以下の都民に月5000円を配る「018サポート」などの子育て施策、防災対策など2期8年の実績を強調。小池氏の顔や声を人工知能(AI)に学習させた「AIゆりこ」による政策発信も話題になった。  政党色を出さない選挙にもこだわった。自民、公明、国民民主の各党と地域政党「都民ファーストの会」の支援を受けたものの、小池氏の演説会場で、政党の議員が応援演説することは一度もなかった。背景には、派閥の裏金問題で自民に逆風が吹く中、党派色を薄め広く支持を広げたいという思惑もあったとみられる。

◆SNS上の知名度生かし善戦の石丸氏

都知事選と都議会議員の補選に投票する有権者ら=東京都中野区で(川上智世撮影)

 石丸氏は元銀行員のキャリアを強調。「経済のプロとして初の都知事を目指す」と語り、利権政治からの脱却や教育への投資も掲げた。動画投稿サイト「ユーチューブなど交流サイト(SNS)上での知名度も生かし、インターネットでの発信をフルに活用して無党派層の取り込みを図ったが、届かなかった。  蓮舫氏は「反自民、非小池都政」を掲げ、小池都政の刷新を訴えた。街頭では立民を中心とする国会議員が連日応援に入り、自民と小池氏を重ねて批判するなど「与野党対決」の構図を演出。樹木の伐採が批判されている明治神宮外苑の再開発について「いったん立ち止まるべきだ」との立場を示し、計画の是非を問う住民投票の実施も公約にしたが、十分な浸透には至らなかった。  知事選には、過去最多の56人が立候補した。 

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