都知事選の落選が決まるも、笑顔で記者の質問に答える石丸伸二氏=東京都新宿区で

 7日投開票の東京都議補欠選挙で、自民党は候補を擁立した8選挙区で2勝6敗と惨敗した。裏金事件による逆風が響き、主要選挙での敗北が続く岸田政権にさらなる痛手となった。立憲民主党も1勝2敗と負け越し、都知事選でも全面支援した蓮舫氏が石丸伸二氏に約37万票の差をつけられ3位に沈んだ。既存政党に批判的な層を取り込んだ石丸氏が大きく票を伸ばした「石丸ショック」に、与野党とも次期衆院選の戦略の練り直しを迫られている。

◆「あれだけの票を取ったということは…」

 岸田文雄首相は8日、視察先の岐阜県恵那市で記者団に「真摯(しんし)に受け止め、今後に生かしていかなければならない」と述べた。都内選出の自民中堅も都議補選の大敗に「厳しい結果だ。首都圏はこのままでは戦えない」と肩を落とした。  自民は石丸氏の躍進にも神経をとがらせる。ある幹部は「今の政治は信用できないという人がそれだけ増えている。(石丸氏が)あれだけの票を取ったということは、ほかの地域にも広がっていく可能性がある」と指摘した。

◆「国政経験がない」と甘く見ていた

 立民は当初、「最強の候補」(党幹部)の蓮舫氏なら小池百合子氏と互角の戦いに持ち込めると踏み、石丸氏は「東京では知名度がない」(同)と無警戒。告示後、石丸氏が交流サイト(SNS)での発信や街頭演説で存在感を高めても「ネットや街頭の熱気だけでは票に結び付かない」と危機感は薄かった。  予想外の大敗に、党内では次期衆院選への不安が高まる。ある党幹部は「もっと有権者に期待されていると思っていた。国政経験のない石丸氏の方が、既存の政治に挑戦しているようにみえてしまった」とため息をついた。(井上峻輔、大野暢子) 

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