「能動的サイバー防御」の法整備に関する有識者会議の会合で発言する河野デジタル相(8日、東京・霞が関)

政府は8日、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向けた有識者会議の会合を開いた。経団連など経済3団体から政府に求める役割やリスクへの対応状況などについて意見を聞いた。

聞き取った意見を踏まえて、憲法が保障する「通信の秘密」や民間事業者との連携といった能動的サイバー防御を法整備する際の論点を詰める。

経済界からは重要インフラ事業者がサイバー攻撃の被害を受けた際、政府への報告を義務化するよう提案があった。その際に「レピュテーションリスク(評判を損ねる恐れ)」に配慮すべきだとの意見が出た。

中小企業は基本的なセキュリティー対策にとどまっているため政府の支援が必要との認識も示された。人材育成の方策として大学でのセキュリティー学科新設や社会人講座の検討を求める声もあった。

サイバー攻撃は重要インフラなどを扱う民間事業者にとってサービスの停止や機密流出につながる可能性がある。国民生活や経営へのリスクは大きい。2023年は1つのIPアドレスあたり14秒に1回のサイバー攻撃が起きた。この頻度は10年前と比べて35倍に高まっている。

「能動的サイバー防御」の法整備に関する有識者会議の会合に出席した有識者ら(8日、東京・霞が関)

サイバー攻撃対策には民間からの協力が欠かせない。政府は通信事業者から提供される通信情報を分析し、サイバー攻撃の予兆をつかむ体制の構築を調整している。政府が入手した脅威情報は機密保持を前提に民間と共有し対策を促す方向だ。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。