日本と北大西洋条約機構(NATO)は、機密情報をやりとりするため専用通信回線を設置する方向で最終調整に入った。安全保障分野の連携強化が目的。岸田文雄首相が10日から訪米してNATO首脳会議に出席するのに合わせ、正式合意を目指す。

 NATO加盟国の間では安全性を確保した通信網が整備され、機微な情報がやりとりされている。こうしたシステムを日NATO間でも構築し、高いレベルの情報共有を図るねらいがある。

 日本とNATOは昨年、安全保障面の協力に関する「日・NATO国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」を策定し、16の分野で協力することを確認した。情報共有の強化には、サイバーや宇宙など地域を超えた新たな安全保障の課題に対応する意図もある。

 首相は米ワシントンを訪問後、ドイツも訪れる予定。ショルツ首相との首脳会談で、経済安全保障に関する関係省庁の幹部級協議を立ち上げる見通しだ。中国が経済連携の強化を図るドイツと協調し、中国の過剰生産問題や重要鉱物の輸出規制の動きに備えたい考えだ。(笹川翔平、西村圭史、松山紫乃)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。