木原稔防衛相は12日の閣議で、2024年版防衛白書を報告した。中国の軍事動向について「西太平洋など(小笠原諸島とグアムを結ぶ)第2列島線に及ぶわが国周辺全体での活動を活発化している」と強調。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展も取り上げ、「質的な能力向上に注力している」と危機感を示した。
白書は、台湾海峡周辺での中国軍の威圧的行動などに言及。「中台間の軍事的緊張が高まる可能性も否定できない」として、中国側が情勢悪化を招いているとの見解を明記した。
北朝鮮を巡っては、昨年来の傾向として「装備体系の多様化や、運用能力を補完する情報収集・警戒監視・偵察(ISR)手段の確保」に力点を置いていると分析。軍事偵察衛星の打ち上げや、固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」発射などを、具体例として挙げた。
ウクライナ侵攻を続けるロシアの継戦能力に関し、「北朝鮮からの砲弾やミサイル調達」に触れ、長期化の可能性を指摘した。
日韓関係では、6月の火器管制レーダー照射問題の再発防止策合意を踏まえ、「さまざまな分野で協力・交流を推進していく」と表明。島根県の竹島については、従来通り「わが国固有の領土」と記した。
2024年版防衛白書の表紙(防衛省提供)
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