【ベルリン=三木理恵子】岸田文雄首相は12日、ベルリンを訪れ、ドイツのショルツ首相と会談した。日独の防衛協力を深める方策を議論する。経済安全保障に関する政府間の協議体の新設で合意し、強固な半導体などのサプライチェーン(供給網)を目指す。中国の過剰生産問題についても意見を交わす。
国際会議への出席を除き、日本の首相がドイツを訪問するのは2017年以来、7年ぶりとなった。会談後に共同記者会見を開き、成果を発表する。
会談の当日に、自衛隊とドイツ軍が燃料などを融通し合い共同訓練をしやすくする「物品役務相互提供協定(ACSA)」が発効。日独の部隊がより現場で意思疎通しやすくなる環境を整える。中国やロシアの動向を念頭に置く。
7月後半にはドイツの空軍機が日本に展開し、航空自衛隊との共同訓練を予定する。海上自衛隊の練習艦隊が独ハンブルクに寄港する計画もある。2国間の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を早期に開催する方針も申し合わせる。
日本とドイツはロシアによるウクライナ侵略後、防衛費を国内総生産(GDP)比で2%に高める目標を設定した。防衛力強化にともに取り組んでおり、抑止力を高める具体策を増やしていく。
日独は23年に両首相が共同議長を務める政府間協議を立ち上げた。関係閣僚が経済安保を中心に話し合う場を設けた。こうした成果を踏まえ実務者による「日独経済安保協議」を発足させる。
両国の外務省に加え日本は経済産業省、ドイツは経済・気候保護省の局次長級が参加する。
補助金を使った太陽光発電パネルなどの中国の過剰生産に厳しい立場を取る日米や欧州連合(EU)と異なり、ドイツは中国に配慮する姿勢もみせる。
EUの行政執行機関である欧州委員会が中国から輸入される電気自動車(EV)に追加関税を課すことにも反発している。
岸田首相はショルツ氏にリスクに配慮して中国との経済関係を考えていくべきだと伝える。水素や半導体、重要鉱物などでの具体的な協力案件が進展していると確認する。
脱炭素に向けた二酸化炭素(CO2)貯留のルールづくりやスタートアップ誘致でも協力策を申し合わせる。
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