政権運営を軌道に乗せるには何が必要なのか―。民間シンクタンクのPHP総研が、首相官邸で働く官僚へのヒアリングなどを基にまとめた報告書「官邸の作り方」を発表した。研究メンバーが17日、東京都内で記者会見し、9月に党首選を控える自民、立憲民主両党に対し「次の政権を担う首相候補者たちの準備に生かしてほしい」と求めた。

「官邸の作り方」を発表する東大の牧原出教授(左)と都立大の佐藤信准教授=17日、東京都千代田区で

◆「岸田政権は全体像を描けなかった」

 報告書は(1)3カ月以上かけた政権準備(2)内政や外交スケジュールの一元管理(3)官邸での執務経験がある人材の登用(4)優先順位を付けた政策展開(5)リーダーの器の錬磨―をポイントに挙げた。特に政権を安定化するには(2)と(3)を優先すべきだとし、政権発足直後から独自政策に力を入れるのはリスクが高いと指摘した。  研究メンバーで東大の牧原出教授(行政学)は会見で「岸田政権の失敗は、個々の政策は悪くなくても、全体像を描けないまま、その時々の対応を続けてきてしまったことだ」と説明。都立大の佐藤信准教授(現代日本政治)は「政策があればうまく回るわけではない。長い目でスケジュールを組み立て、政権のアップダウンを計画していくことが大事だ」と述べた。  報告書はPHP総研のウェブサイトで閲覧できる。(近藤統義)


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