新潟県上越市の中川幹太市長が6月の市議会で、市内に工場のある企業名を挙げた上で「企業誘致で頭のいい人だけが来るわけではない」などと発言した問題を受け、同市議会は19日、市長に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。法的拘束力はなく、市長はこの日の答弁で自身の発言について「差別意識はない」とし、「信頼回復に努力し、公約の実現や市政発展に尽力する」と語った。
決議案は最大会派「久比岐野」代表の橋本洋一議員を提出者に、賛成者には「市民クラブ」「つなぐ」「日本共産党議員団」の3会派代表と、無所属4議員の計7人が名を連ねた。「就任以来、不適切発言などを繰り返し、市民の期待と信頼を裏切る言動は目に余る」「本質的に偏見や差別意識をもっているのではないか」などと指摘。「市政の混乱と市民の信頼を失墜させた政治的、道義的な責任は免れない」として速やかな辞職を求めた。
同日の臨時議会で、市側は「不適切発言で市政への信頼を損ねた責任を重く受け止め、自らを強く戒めるため」として市長の給料を5カ月間全額カットする関連2議案を提出したが、いずれも全会一致で否決された。
中川市長は6月の市議会一般質問で、市内に工場を構える企業名を挙げた上で「工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている。企業誘致で頭のいい人だけが来るわけではないことを前提にしなければならない」などと発言。その後、撤回し、工場へ出向いて謝罪していた。
中川市長は2021年10月に初当選。6月の発言の以前にも、市内の地区名を出して「商店街はもうない」と言ったり、市内の私立高校について「レベルが下にある」などと発言したりしたことがある。そのたびに抗議を受け、謝罪をしてきた経緯がある。(北沢祐生)
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