参院政治改革特別委で答弁を求め挙手する岸田首相=6月18日、国会で
◆オンライン提出、2022年分は1割以下
オンライン提出は2010年から努力義務となった。しかし、2022年分の収支報告書で実施したのは、総務省所管の706団体のうち、1割以下の64団体のみ。大半が紙での提出を続けている。 総務省は2004年からネット公表を始めた。オンライン提出された収支報告書だけでなく、紙の報告書も画像化したPDFファイルとしてウェブサイトに掲載している。各都道府県選挙管理委員会も所管する報告書のネット公表を順次始め、今秋、全ての選管で実現する見通しだ。◆検索できなければ監視の目は届きにくく
ただ、ネットに公表されても、政治資金の流れを検索する機能がないことから監視の目は届きにくく、「政治とカネ」の不正が繰り返される温床になってきた。 改正法が施行されると、オンライン提出とネット公表が義務化されるが、現在でもほぼすべての収支報告書がネット公表されていることを考えれば、不正防止に効果があるとはいえない。 国会審議で野党だけでなく、与党の公明党が検索機能のあるデータベースの構築を求めたのも、そのためだ。PDFファイルだけでは、議員ごとの名寄せや寄付者名などのキーワード検索はできず、献金元の分析や金額の集計が難しい。収支報告書の内容が電子データとして閲覧、取得できるようにならなければ、現状と何も変わらない。◆「検討する」付帯決議には法的拘束力なし
しかし、自民党は「予算措置や技術的課題の整理が必要だ」と難色を示し、法的拘束力のない付帯決議に「検討する」と盛り込んで先送りした。現在は3年に限られている収支報告書の公表・保存期間の延長も見送られた。(近藤統義) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。