自民党議員が不祥事を起こした後にすぐ離党し、説明責任を放棄するような対応が繰り返されている。7月に東京地検の強制捜査を受けた2人が離党したが、茂木敏充幹事長はいずれも「本人に説明責任を果たしてほしい」というコメントを出しただけ。文面は2人の名前以外、一言一句同じ「コピペ」で、党としての責任や当事者意識が感じられない内容だった。

◆誰も記者会見を開かない

堀井学衆院議員が離党した際に出された自民党の茂木敏充幹事長のコメント

 自民では堀井学衆院議員(比例北海道)が7月18日、選挙区で違法に香典を配った公職選挙法違反容疑で、30日には広瀬めぐみ参院議員(岩手選挙区)が秘書給与を詐取した詐欺の疑いで、それぞれ東京地検特捜部の家宅捜索を受けた。2人はすぐ離党届を出し、党は即日受理した。  茂木氏のコメントは「今回のような事態に至ったことは極めて遺憾です。現在、捜査が進んでいる状況ですが、今後、堀井(広瀬)議員にはしっかり説明責任を果たしてもらいたいと考えています」と2人とも同じ内容。堀井、広瀬両氏は強制捜査後に記者会見などは開いていない。

堀井学衆院議員(左)と広瀬めぐみ参院議員(右)

 インターネットの交流サイト(SNS)では「離党して済む話ではない」「党内で調査して処分をするのが幹事長の仕事」「遺憾と言うなら説明責任を果たすまで離党させるな」などと批判がやまない。

◆自民党にも説明責任

 自民では、今年に入り派閥の裏金事件で大野泰正参院議員や、谷川弥一前衆院議員が早々に離党。昨年も汚職と公選法違反の事件でそれぞれ逮捕された秋本真利衆院議員や、柿沢未途前衆院議員らの離党も早々に認めていた。  野党からは「トカゲのしっぽ切りだ」(立憲民主党の泉健太代表)と責任逃れを追及されているが、自民は同じ対応を続けている。堀井、広瀬両氏に関しても「離党したからといって問題が解決するわけではない。自民は説明責任を果たすべきだ」(社民党の福島瑞穂党首)という声が上がっている。(我那覇圭) 

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