岸田文雄首相は14日、首相官邸で記者会見し、自身の任期満了に伴う9月の自民党総裁選に立候補しないと表明した。党派閥の政治資金パーティー裏金事件や物価高などへの対応で国民の政治不信が高まり、内閣支持率は低迷。2021年10月の発足から3年弱で退陣に追い込まれることになった。首相は新総裁選出後に、辞任する。(坂田奈央)

◆裏金事件「身を引いてけじめをつけたい」

記者会見で自民党総裁選への不出馬を表明する岸田首相(池田まみ撮影)

 首相は「自民党が変わることを示す最初の一歩は私が身を引くことだ。総裁選には出馬しない」と明言。今後の課題として経済や安全保障、子ども政策を挙げ「日本は内外で難局に直面している。だからこそ政治の信頼、国民からの信頼が大事だ。共感や信頼を取り戻すことで政策を前に進めることができる」と説明した。  裏金事件に関し「組織の長として責任を取ることにいささかのちゅうちょもない。事案が発生した当初から思い定め、心に期してきた」と述べ、「外交日程に一区切りがついたこの時点で、身を引くことでけじめをつけたい」と強調した。  岸田内閣の支持率は昨秋以降20%台で低迷。不支持率はその倍以上の50~60%台から下がらず、政治不信が深まっていた。

◆9月の党総裁選「新リーダーを一兵卒で支える」

 次期衆院選に向け、党内には首相が「選挙の顔」では勝てないとの危機感が広がり、地方組織からも退陣を求める声が公然と上がっていた。前回21年9月の党総裁選でも、菅義偉首相(当時)が新型コロナへの対応や東京五輪の開催で支持率が下がり、不出馬に追い込まれた。  総裁選を巡っては、石破茂元幹事長が出馬に意欲を示しているほか、河野太郎デジタル相や小泉進次郎元環境相、茂木敏充幹事長、高市早苗経済安全保障担当相、小林鷹之前経済安保担当相らの名前も挙がっている。首相は「新リーダーを一兵卒で支えていくことに徹する」と述べるにとどめた。  首相の在職日数は4月に、故橋本龍太郎元首相を超えて戦後の首相で8位となった。 

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