首相官邸は23日、岸田文雄首相が自民党総裁選への不出馬を表明した14日の記者会見で指名されなかった報道各社の書面質問に対する回答を公表した。首相は、自身が掲げる「核なき世界」の実現と核抑止の取り組みについて「矛盾するものではなく、共に取り組んでいくべきだ」との見解を示した。

◆今後の道筋を明確に示さず

 東京新聞は、首相が核抑止の重要性を強調し、核兵器禁止条約の批准にも否定的な態度を取り続けることは、核廃絶からかけ離れているのではないかと尋ねた。また、核廃絶を実現する道筋を質問した。

首相官邸に入る岸田首相=23日、東京・永田町で(佐藤哲紀撮影)

 首相は核兵器禁止条約に関し「核兵器国は1カ国も参加しておらず『出口』に至る道筋は立っていない」と説明。「唯一の戦争被爆国として核兵器国を関与させるよう努力しなければならない」とした。  具体的な取り組みについては、2022年9月にCTBT(包括的核実験禁止条約)発効に向けた機運を高めるため、日本や豪州などでつくる「CTBTフレンズ」の首脳級会合を初めて開いたことなどを指摘したが、今後の道筋は明確に示さなかった。(坂田奈央) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。