8月も全社3割届かず

8月の各社の支持率はほぼ横ばい。14日の岸田氏の事実上の退陣表明後も大きな変動はなく、最低は時事通信の19.4%、最高は日経新聞の28%で、全社が3割に届かなかった。

対面調査の時事で、3割を下回るのは昨年8月以来、13カ月連続。岸田首相は次の総裁選への不出馬を表明した記者会見で自民党派閥の裏金問題にも言及しつつ、「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ」と述べた。

就任直後は高支持率

岸田政権の支持率はM字型を描きながら、全体として右肩下がりに推移していった。

首相就任直後、2021年10月末投開票の衆院選では自民党が「絶対安定多数」の261議席を獲得。時事のピークは22年4月の52.6%だった。支持率は22年夏まで比較的高い状態で推移し、22年7月の参院選では自民党は単独で改選過半数を確保した。

転機になった安倍元首相銃撃

参院選の選挙期間中に起きた安倍晋三元首相の銃撃死は岸田政権にとって転機となった。岸田氏は安倍氏の葬儀を国葬で行うとし、国論を二分した。さらに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との接点に焦点が当たり、支持率は急降下して22年末に一度目の底となる。

2023年の支持率は揺れ動いた。前半は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に向けて上昇し、衆院解散も取り沙汰された。後半はマイナンバーのトラブルなどが判明し、一転して支持率はずるずると低下。9月の内閣改造や10月の減税表明は支持率アップには結びつかず、年末には自民党派閥の裏金問題が明るみに出て支持率は急落。24年は各社とも3割を切ることが増え、最後まで本格的な再浮上はなかった。

「退陣妥当」が多数

岸田氏による首相退陣表明について、8月の世論調査でその判断の是非を聞いた日経、産経新聞、読売新聞、毎日新聞、共同通信の5社は、いずれも「退陣は妥当・当然」とする声が、「妥当ではない」とする声を大幅に上回ったと報じている。

●「支持する」

NHK 25% (±0) 2~4日
時事通信 19.4% (+3.9) 2~5日
共同通信 26.1% (+1.5) 17 ~19日
日経新聞 28% (±0) 21~22日
読売新聞 24% (-1) 23~25日
朝日新聞 23% (-3) 24~25日
産経新聞 26.1% (+1.0) 24~25日
毎日新聞 23% (+2) 24~25日

●「支持しない」

NHK 55% (-2) 2~4日
時事通信 53.6% (-4.8) 2~5日
共同通信 67.4% (+6.7) 17~19日
日経新聞 66% (+2) 21~22日
読売新聞 63% (+1) 23~25日
朝日新聞 62% (+1) 24~25日
産経新聞 70.1% (+1.2) 24~25日
毎日新聞 71% (-2) 24~25日

※カッコ内は前回調査からの増減。時事は個別面接方式、毎日は携帯電話SMSと固定電話自動音声の組み合わせ、他は無作為に固定電話と携帯電話にかけるRDD方式。質問は各社ごとに異なる。掲載は調査時期順。日付は調査日。

自民党は総裁選を9月12日に告示し、27日に投開票を行う。野党第1党・立憲民主党の代表選は7日告示、23日投開票。

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