千葉県のJR津田沼駅前でビラを配る立憲民主党の野田元首相=29日午前

 立憲民主党の野田佳彦元首相は、首相や財務相を務めた経験と発言の安定感から、自民党新総裁と渡り合える重鎮として立候補に期待する声が高まった。立民では最高顧問の立場にあり、当初は「昔の名前で出るのは良くない」と慎重な姿勢を示していたが、党内の強い要請を受けて出馬を決断した。

 民主党政権時代の2010年、野田氏は菅内閣の財務相に就任。翌11年の民主代表選を制して首相になり、自民、公明両党との合意の下、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法を成立させた。

 力強く落ち着いた弁舌には定評がある。22年の安倍晋三元首相に対する国会での追悼演説では「再び議場で火花散るような真剣勝負を戦いたかった。勝ちっ放しはないでしょう」と訴え、自民側から「首相経験者しか分からない心情がにじみ出ていた」と受け止められた。

 代表選出馬への期待が高まる中でも、自身の対応については「熟慮中」と繰り返した。12年に民主内の反対を抑えて衆院解散に踏み切り、大量の同僚議員を落選させ政権を失った自責の念が今もある。

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