自民党総裁選で、岸田政権の中枢を担う議員の出馬表明が相次いでいる。林芳正官房長官に続き、党務を取り仕切る茂木敏充幹事長も立候補する。岸田文雄首相が裏金事件の責任を取るとして総裁選への不出馬を決めた中、連携して対応に当たったはずの両氏は自らの責任には向き合わないまま。今になって新たな改革案を打ち出す一方、「裏金議員」への対応には後ろ向きな物言いに終始している。

自民党総裁選への立候補を表明する茂木敏充幹事長=4日、東京都港区で

 「幹事長として政権を支えきれなかったとの指摘があるなら、謙虚に受け止めたい」。茂木氏は4日の記者会見で、裏金事件の対応に関する自身の責任についてこう述べた。

◆後援会に資金移動させる「茂木方式」

 茂木氏は、幹事長として党内調査や処分、政治資金規正法改正などを主導する立場だった。だが、党内や他党との調整を巡り「幹事長が主体的に動かなかった」との指摘もある。自身も公開基準が緩い自らの後援会に資金管理団体から多額の資金を移動させていたことが発覚し、「脱法行為」「茂木方式」などと批判された。  出馬会見で茂木氏は、政党から党幹部に支出される政策活動費の廃止を唐突に表明したが、党内で最も多い年間10億円近い受領額の使途は明らかにしなかった。党の中枢にいながら規正法改正の審議過程で主張しなかった理由については「(改正法の付則で)検討事項として残り、どうにかして具体的に公開できないかという中で判断に至った」と苦しい説明を重ねた。  茂木氏は、政治資金収支報告書に不記載があった「裏金議員」を次期衆院選で公認するかについては「(衆院)解散が決まった時点で党選対本部で厳正に判断したい」と述べるにとどめた。  3日に出馬表明した林氏も「法の支配」という言葉を持ち出し、「手続きを取って決めたことを変えてはならない」として、裏金議員の処分は見直さないとの姿勢を鮮明にしている。(井上峻輔) 

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