東京都千代田区の区道「神田警察通り」の整備に伴う街路樹伐採問題で、区は9~10日、街路樹のイチョウ9本を伐採した。区がこの2年間で伐採したイチョウは7本で、2晩でその数を上回った。今後、区は伐採を加速させる可能性がある。

 10日午後9時ごろ、普段は閑静な神保町駅近くの区道が騒然となっていた。イチョウを伐採する工事業者のチェーンソーの音が鳴り響くと、反対する住民らが「切らないで」などと声を張り上げた。

 問題となっているのは、整備対象の区道約1・4キロのうち2期工事分にあたる約250メートル。歩行者と自転車の通行スペースを設けるため、歩道を広げることを目的にしている。沿道のイチョウ32本中30本を伐採し、2本を移植する計画だ。

 この計画に対し、地元住民の一部が「合意形成が不十分」「イチョウの街路樹は、地域のシンボル」などと反発。工事契約は違法、または不当などとして住民監査請求や住民訴訟をしてきた。伐採に反対する陳情も区議会に出され、継続審議となっている。

 伐採に反対する「神田警察通りの街路樹を守る会」発起人代表の滝本幾子さんは10日、朝日新聞の取材に、「住民訴訟が続き、議会でも継続審議になっている。伐採を強行したのは住民の意思を無視していて、怒りを覚える」などと話した。

 一方、区は11日、「訴訟の継続が工事の執行停止を義務付けることはない。工事の契約については議会の賛成多数で議決を得ている」などとコメント。「これ以上、工事を遅らせることなく、早期に整備することが必要」ともしている。(滝沢貴大)

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