共同記者会見に臨む自民党総裁選の9候補(13日、党本部)

自民党総裁選に立候補した9候補は13日、党本部で共同記者会見に臨んだ。経済政策や政治改革、防災などが論戦テーマとなった。争点に浮上した解雇規制のあり方を巡り、緩和の検討を主張する意見と慎重な立場に分かれた。

労働市場改革は生産性向上や賃上げを進める政策として争点になった。河野太郎デジタル相は解雇の金銭解決ルールの導入を提唱する。小泉進次郎元環境相はリスキリング(学び直し)や再就職支援を条件に大企業の人員整理の要件緩和を唱えている。

小林鷹之前経済安全保障相は「安易な緩和は働く人を不安にさせかねない」と慎重姿勢を示した。「格差を固定、拡張しかねない」と説明した。上川陽子外相も「お金で一方的な解雇が自由であってはならない」と語った。

小泉氏は「労働市場の流動性を高めていく方向性は誰も異論がない。解雇の自由化を言う人は私を含め誰もいない」と述べた。「このままでは正規、非正規の格差の解消是正につながらないという問題意識だ」と説いた。

林芳正官房長官は不当解雇された労働者が同意すれば金銭支払いで労働契約を解消できる制度の検討は閣議決定済みだと触れた。「この議論を進めていく」と言及した。河野氏も「金銭補償を受けられるルールを明確化し、不当解雇を防ぐ」と言明した。

議論の前提を問題視したのは石破茂元幹事長だ。「普通解雇、整理解雇のどれなのか」と指摘した。高市早苗経済安保相は「整理解雇は判例で要件が確立している。短い期間の議論で立法して覆すのは容易でない」と訴えた。

茂木敏充幹事長は副業の全面解禁やハローワークの抜本改革を強調した。加藤勝信元官房長官は「転職のイメージをキャリアアップや所得向上、自分らしい生き方の実現へと変えていく」と発言した。

労働市場の流動性が高まれば、成長分野に労働者が移りやすくなる。雇用のミスマッチが解消し、生産性が向上する効果が期待される。

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