自民党総裁選の告示後初となる候補者9人による街頭演説会が14日夜、名古屋市中区の久屋大通公園であった。派閥の裏金事件をめぐり、国会議員で唯一の逮捕者が出た愛知県。党員や支持者たちは、総裁選をどんな思いで見つめたのか。
この日、午後6時過ぎから「光の広場」に候補者9人が順番に登場し、約10分ずつ、実現したい政策や思いを訴えた。
「自民党が変われるのかが問われている」。候補者からそんな声もあった。だが岸田文雄首相の総裁選不出馬の引き金にもなった派閥の裏金問題への言及はほぼなく、物価高対策、経済・安全保障政策などを訴えた。
裏金問題を巡っては、愛知3区で支部長を務めていた池田佳隆衆院議員=比例東海、自民除名=が政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕、その後起訴された。池田氏は議員の今も雲隠れを続けている。
自民党を支持してきた名古屋市の自営業の女性(60)は裏金事件について、「自営業をやっているので税金は厳しく扱われている。なのに自分たちだけ、いい思いして許せないですよね」と語気を強める。「次の総選挙で自民党に入れていいのか、今日の話を聞いて考えたい」と語った。
一方、瀬戸市の会社員の40代の男性は「裏金事件も重要な問題」としつつ、「国際社会の中でしっかり日本の意見を言ったり、物事を進めたりするなど大きな視点を大事にして欲しい」と話した。
また三重県松阪市の50代の自民党員の男性は期待と危機感をにじませた。「総裁が変わって、今は乗り切れるかもしれないが、来夏には参院選がある。良いことを言うだけでなく、きちんと実行しないとまた野党に転落するかもしれない」
総裁選をめぐり、自民党愛知県連の丹羽秀樹会長は14日、県連として特定の候補への支援を一本化せず、自主投票とすることを明らかにした。
投開票は27日にある。候補者は、高市早苗経済安全保障相、小林鷹之前経済安保相、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長。(野口駿)
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