自民党総裁選(27日投開票)に出馬した9候補は14日、日本記者クラブ主催の公開討論会に臨んだ。派閥の裏金事件を巡る自身の責任について、一様に向き合わない姿勢が目立った一方で、選択的夫婦別姓制度の導入や原発政策などを巡って考えの違いが浮かび上がった。

◆高市氏「決まったことをひっくり返したら独裁だ」と実態解明を拒絶

自民党総裁選立候補者討論会を前にボードを手に撮影に応じる(左から)高市経済安保相、小林前経済安保相、林官房長官、小泉元環境相、上川外相、加藤元官房長官、河野デジタル相、石破元幹事長、茂木幹事長(池田まみ撮影)

 裏金事件の責任を取るとして岸田文雄首相が出馬しなかった総裁選で、事件への向き合い方が大きな焦点となる。政権の要職としての責任を問われた林芳正官房長官(63)は「仲間から『誰かが流れを引き継がないといけない』と言われた」と説明。小泉進次郎元環境相(43)は、中堅・若手の立場で声を上げなかったとの指摘に「総裁選に挑む以上の決起はない」と反論した。  党務を仕切る立場の茂木敏充幹事長(68)も、出馬への疑問に「さらなる改革をしっかり進めていく責任がある」と強調。野党が求めた「政策活動費廃止」を今になって掲げたことに「この問題が出たのは(通常国会での)議論の最終盤だった」と弁解した。  政策活動費廃止ではなく、使途の原則公開を主張する加藤勝信元官房長官(68)は「第三者機関で公開か非公開かをチェックする。支障がなければ非公開の必要はない」と話した。  裏金事件の実態解明について、高市早苗経済安全保障担当相(63)は「新たな事実が出たらやるが、いったん決まったことをひっくり返したら独裁だ」と慎重姿勢を繰り返した。

◆選択的夫婦別姓 上川氏「個人的には賛成」

自民党総裁選立候補者討論会を行う(左から)高市経済安保相、小林前経済安保相、林官房長官、小泉元環境相、上川外相、加藤元官房長官、河野デジタル相、石破元幹事長、茂木幹事長(池田まみ撮影)

 選択的夫婦別姓制度に関し、導入法案の提出を掲げる小泉氏は「別姓を選択したい方に選択肢を用意することが駄目なのか」と問題提起。上川陽子外相(71)も「(結婚で姓を変えた際に)私自身のアイデンティティーが半分そがれたような思いがした。個人的には賛成」とした。  慎重な立場の小林鷹之前経済安保相(49)は「経済成長や女性活躍とも整合的では」との指摘に対し「社会の根幹をなす制度は必ずしも経済成長というところだけで語るべきではない」と反論した。  原発政策を巡っては、小林氏が「安全性が確認された原発の再稼働、建て替え、新増設に取り組む」と主張。石破茂元幹事長(67)は「原発の安全性を最大限に高める必要がある」とした上で「原発のウエートを下げる」と話した。  かつて脱原発を訴えた河野太郎デジタル相(61)は「電力需要の前提条件が変わった。現実的な対応策を考える」とトーンダウンを印象づけた。 (坂田奈央、井上峻輔) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。