立憲民主党の代表選が23日に投開票され、元首相の野田佳彦氏が新代表に選出された。県内選出の国会議員からは期待の声が上がる一方、早期の衆院解散・総選挙をにらみ、野田氏が一定の距離を取ろうとする共産との関係悪化を懸念する声も聞こえる。

 「新代表の下で党が生まれ変わる。打倒自民で一致結束したい」。代表選で野田氏を支持した県連代表の重徳和彦衆院議員(愛知12区)は代表選後の取材に、高揚感を隠さなかった。

 一方、県連副代表の近藤昭一衆院議員(愛知3区)は枝野幸男氏を支援。「勝たすことができなくて残念」としつつ、野田氏に「総理の経験を生かして党をまとめてほしい」と語った。

 党の参院国会対策委員長の斎藤嘉隆県連代表代行も枝野氏を支援した一人だが、「一致結束して心を合わせて、僕らもしっかり支えていきたい」とノーサイドを強調した。

 県連票を一任された県連幹事長の河合洋介県議は「決選投票に残った2人の選対幹部が県内にいる。どちらに入れたと言っても誰も得をしない」として、投票先を明らかにしなかった。

 次期衆院選に向けて、愛知県内でも焦点になるのが、共産との関係だ。

 野田氏は代表選で共産とは「一緒に政権を担えない」と共闘関係を見直す考えを示していた。共産が「廃止は共闘の一丁目一番地」(田村智子委員長)とする集団的自衛権を認めた安全保障法制についても、「すぐに変えるのは現実的でない」と言及していた。

 21年の衆院選では、立憲と共産は共闘。県内でも立憲の候補者がいた9の小選挙区で共産が擁立を見送った。このうち3選挙区で勝利したが、敗れた6選挙区では惜敗率が77~99%と接戦に持ち込んだ。

 ただ、全体では議席を減らし、当時代表だった枝野氏は責任を取る形で辞任。支持母体の連合からは共産との関係の見直しを迫られていた。

 自民党総裁選後の早期解散・総選挙も取り沙汰されるなか、重徳氏は、「前回は『立憲共産党』とレッテルを貼られて厳しい選挙だった。次の総選挙は自民党支持層からどれだけ票が得られるのかが勝負どころだ」と話し、共産との関係見直しに前向きだ。

 共産は反発する。共闘の見通しが立たないなか、今月23日までに、前回の倍となる県内10選挙区で候補者の擁立を発表。石山淳一県委員長は「今の状況で候補者を取り下げることは絶対にない」と言い切る。

 こうした動きに、立憲の県内関係者からは不安の声も。前回の衆院選で共闘で接戦を制した選挙区の陣営関係者は「共産の票が引かれると厳しい」と覚悟する。

 共産との関係維持を公言する候補者もいる。愛知10区(一宮市の一部など)の候補予定者の藤原規真氏(46)は連合に推薦依頼を出さないなど、共産との関係を重視。共産幹部によると、共産は10区での候補者擁立は見送る方針を決めている。

 重徳氏は「愛知でも地元の候補者と共産の関係性は選挙区ごとに異なる」と一部での共闘の可能性を示唆する。

 ただ立候補予定者の一人はこう漏らす。「接戦の選挙区では土下座してでも共産に候補者を取り下げて欲しいのが本音だ」(野口駿、寺沢知海)

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