自治体職員らが住民役となり、避難の経路や手順を検証した(25日、沖縄県石垣市)

沖縄県や石垣市など先島諸島の5市町村は25日、有事の際に住民を島外へ避難させる手順や経路を新石垣空港で検証した。臨時の保安検査場を設けて荷物検査などを行い、搭乗までにかかる時間を確認した。検証結果は避難を想定した図上訓練に役立てる。

検証には県や関係自治体のほか国も参加した。国や自治体は2023年から有事の国民保護を目的とした図上訓練を進めており、現場で実際に検証するのは今回が初めてという。

小型ジェット機での避難を想定し、避難者役の県職員ら270人規模で実施した。避難計画に基づき、効率的に搭乗手続きが進むよう通常の保安検査場に加えて臨時の検査エリアを設置した。混雑を避けるため、通常の搭乗時とは異なる移動経路も設けた。

検証では避難者が空港入り口に到着し、搭乗口でチケットを機械にかざすまでの時間を計測した。午後9時に開始し、午後10時10分ごろに全員が手続きを終えた。当初の想定より15分程度早く完了したという。

石垣市の中山義隆市長は終了後、記者団に対し「動線で停滞する部分や手間取ったところもあった。来年の図上訓練に向けて課題を解消していければ」と述べた。大型機を想定した検証にも意欲を示した。

政府は台湾有事など不測の事態を念頭に、5市町村の住民11万人と観光客ら1万人を航空機と船舶で九州・山口各県に運ぶ計画を立てている。石垣島から避難するのはおよそ5万人で、全員の避難には6日間かかると想定する。避難時間をどこまで短縮できるかが課題だ。

今回の検証結果は避難経路の見直しや人員配置の適正化に生かす。25年1月に実施する次回の図上訓練に反映する方針だ。

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