立憲民主党の野田佳彦代表は30日、「次の内閣」(ネクストキャビネット=NC)の人事を発表した。実際の内閣の役職と合致させる形で20人で構成し、10月27日投開票の衆院選に向け公約づくりを担う。「ネクスト首相」の野田氏を筆頭に政権交代に向けて人材育成と現実的な政策を意識する。
10月1日に「初閣議」を開いて公約づくりに着手する。野田氏は9月30日、国会内で記者団に「政権をめざして組閣を準備すべきで、実力者がそろっていると自負をしている」と語った。
「ポスト民主党政権」世代の育成を主眼に置いた。野田氏自身と菅直人政権で国土交通相を務めた馬淵澄夫氏を除き、閣僚未経験者が並ぶ。野田氏は「新規に大臣をめざしてもらう」顔ぶれだと説明した。
20人のうち5人を衆院当選4回以下の議員にした。「ネクスト官房長官」の重徳和彦政調会長は2012年初当選の衆院当選4回で政務三役の経験はない。9月の代表選に立候補した当選1回の吉田晴美氏はジェンダー政策や孤独孤立担当に充てた。
一方で「重要閣僚」は政務三役の経験も考慮した側面がある。「ネクスト外相」の渡辺周氏は防衛と総務の副大臣、原子力発電所などエネルギー政策を担う「ネクスト経済産業相」の田嶋要氏は経産政務官の経験がある。
野田氏は「政策統括」の代表代行に泉健太前代表のもとで政調会長を務めた長妻昭元厚生労働相をつけた。NCのメンバーでないものの党の政策を巡る議論に幅広く関わる。経験者の知見も加えて「刷新感」と「安定感」の両立をはかった。
政権交代を意識してNCの人数も直近の14人から20人に拡充した。これまで「ネクスト内閣府担当大臣」らに集約していた政策の担当者をより細かくわけ、実際の閣僚数と同等にした。実際に政権を取りにいくための備えという意図がある。
実際に政権を獲得した際にそのままNCメンバーが入閣するかは不透明だ。当選回数や民主党政権での経験値がある議員を差し置いて、若手を起用できるかは実務能力の育成に左右される。
野田氏は9月の代表選で「中道から穏健な保守」路線をめざすと訴えた。NCで策定する公約が野田氏の方針を裏付けることになる。
野田氏は外交・安全保障政策で自民党政権からの継続性を重視する姿勢を強調してきた。集団的自衛権の一部行使を容認した安全保障関連法を巡って「違憲部分がある」という立民の従来の主張を踏襲しつつ、急な方針転換を否定した。
安全保障担当には福山哲郎元幹事長を起用した。福山氏は代表選で野田氏と決選投票を競った枝野幸男元代表に近いとされる。枝野氏は代表選でリベラル層を中心に支持を集めた。福山氏の起用は党内バランスへの配慮との見方もある。
長妻氏も従来の立民の政策を形作ってきた中心人物だ。野田氏がどこまで政策の方針を修正できるか注目される。
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