自民党の石破茂総裁は1日の衆参両院本会議での首相指名選挙を経て、第102代首相に就任した。首相官邸での記者会見で、日本の経済状況について「デフレを脱却するかどうかの瀬戸際にいる」との認識を示した。「早期に物価高で苦しんでいる方を支援するための経済対策の検討を指示する」と語った。

「低所得者向け給付金」に言及

「経済対策で低所得者向け給付金など物価高への緊急対策を行う」と明らかにした。「最低賃金を2020年代に全国平均1500円への引き上げをめざす」と訴えた。

「コストカット型の経済から高付加価値創出型経済へと転換し、投資大国日本を実現する」と述べた。持続的に実質賃金を向上させ、将来不安を取り除くと明言した。

「資産運用立国」政策、継承し発展

石破氏が自民党総裁に選出された後、株価が乱高下した。「株の動向は政府として冷静に判断したい」とし、「デフレ経済からの脱却を確実なものとし、資産運用立国の政策を引き継ぎ発展させていく」と岸田前政権の政策を引き継ぐことを強調した。

「金融緩和の基本的な基調維持されるべく見守る」

金融政策を巡る日銀との姿勢を問われ「緊密な連携のもとに、金融緩和の基本的な基調は維持されるべく見守っている」と答えた。

医療・年金・社会保障については「いまの時代に本当に合っているものなのか。国民の将来不安を取り除くため見直しに着手する」と語った。

いま政治に求められているのは「国民一人ひとりと正面から向き合うことだ」と指摘した。「全ての人が安心と安全を感じることができる日本を作らなければならない」と述べた。

石破内閣は「納得と共感内閣」

首相は1日に立ち上げた内閣を「納得と共感内閣」と表現した。「国民に納得していただき、共感していただける政治を進めていく」と語った。

次期衆院選「内閣への信任を問うのが大義」

衆院を9日に解散し、15日公示、27日投開票の日程で総選挙を実施すると改めて表明した。

「新しい内閣が発足した。国民の信を問うことは憲法の趣旨にも沿うと思っているが、選挙中に議論して国民に判断いただく材料を提供すべきだ」と話した。

「代表質問に対する答えも所信表明も本当に自分の言葉で語りたい。誠心誠意やりたい。国民の心に響くようやっていきたい」と訴えた。

解散の大義を問われ「内閣を信任いただけるか、あるいは他の選択があるのか。それを主権者たる国民に問うのが大義だ」との認識を示した。

「公認」は再発防止策など聞いて判断

党派閥の政治資金問題をめぐり収支報告書の不記載があった所属議員を公認するかについて言及した。「党として選挙区でどれくらいの支持をいただいているかを把握しながら決定していく」と述べた。

政治資金の記載状況、政治活動以外の使途の有無、再発防止策について聞いたうえで公認するかどうかを判断するとも明らかにした。書面による提出の可能性にも触れた。

「必要であれば公認権者の私自身が国民に納得していただけるような説明をする」と言明した。衆院選の公示日まで時間が限られていると質問され「時間的余裕は厳しい」と発言した。

党としての現段階での再調査については否定的な見方を示した。

地方創生で中長期的な方針策定

「経済成長の起爆剤として地方創生に強い決意を持って取り組んでいく」と力を込めた。

今後10年間の中長期的な方針を策定する「新しい地方経済・生活環境創生本部」を設置し、地方活性化に取り組むと表明した。

「令和の政治改革を断行」

「ルールを守る政治を実現する。国民を信じ、国民から信頼される内閣でありたい」と述べた。

政治改革について「国民に丁寧に説明し、節度を持って集めたカネを限りない透明性のもとで公開していくことが必要だ」と強調した。「自民党総裁として令和の政治改革を断行する」と力を込めた。

「若者と女性の機会を守る」

「若者と女性の機会を守る」とも述べた。教育の改革と女性の社会参画を促すため「国民的議論を主導し制度改革に取り組む」と方針を掲げた。

地位協定の改定「日米同盟強化につながる」

首脳外交のあり方を問われ「2国間関係は大事だ。何のために会談をするのかが極めて重要だ」と答えた。

米国の大統領選に関し「どちらの候補が大統領になっても話ができる状況は作っておかなければならない」と語った。「日米同盟に懸念が生ずるとは全く思っていない。地位協定の改定が日米同盟を強化することにつながる」と述べた。米国に自衛隊の訓練基地を作ることは軍事的合理性があるとの考えを示した。

自衛官の処遇改善で関係閣僚会議

外交力の強化に関して「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを引き継ぐ意向を示した。防衛力を抜本的に強化するうえで現在定員割れの自衛官の処遇改善に取り組む必要性を訴えた。関係閣僚会議を設置して対応策をまとめると明らかにした。

拉致問題は最重要課題

北朝鮮による日本人拉致問題は内閣の最重要課題だと指摘した。「全ての拉致被害者の方々の一日も早い帰国を実現すべく強い決意を持って取り組んでいく」と言明した。

リニア全線開業の2037年目標は「踏襲」

リニア中央新幹線の全線開業を2037年とする目標について「踏襲する」と言明した。「リニアが開業することが日本全体の発展に資する」と述べた。経済効果を発揮するために東海道新幹線の輸送余力の活用の必要性にも言及した。

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