自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて26日、衆院政治改革特別委員会が初めて開かれた。公明党や野党が政策活動費(政活費)や企業・団体献金見直しを含めた幅広い政治改革の必要性を主張する一方で、自民の訴えは議員の責任明確化に偏った。自民案には議員の処罰を巡って「言い逃れができる」との指摘も野党から出ており、事件を起こした自民の改革姿勢の甘さが際立っている。

国会議事堂(資料写真)

 特別委初回のこの日は、代表者がそれぞれ政治資金規正法改正に向けた改革案を説明。政党間のやりとりはなかった。  自民の大野敬太郎氏は「まず取り組まないといけないのは、不適切な会計処理を二度と起こさないための再発防止策だ」と強調。会計責任者が政治資金収支報告書を提出する際、議員による「確認書」の添付を義務付けて責任を明確化するほか、外部監査の強化、収支報告書のオンライン化推進の3点を盛り込んだ。  一方で、政策をカネでゆがめるとの指摘もある企業・団体献金の禁止については「政治資金の多様性確保が必要だ」と主張。政治団体の使途公開も「営業秘密やプライバシーに配慮が不可欠で、なじまない部分がある」と後ろ向きな姿勢を示した。

◆「連座制もどき、やる気が感じられない」

 これに対して公明や野党は、自民が盛り込んだ3点に加え、政活費の廃止、パーティー券購入者の公開拡大など多岐にわたる改革案を提示。日本維新の会の浦野靖人氏は、議論の対象を絞ろうとする自民の姿勢を「なぜ3点のみなのか」と疑問を呈した。  自民案は会計責任者が不記載等で処罰された際、確認不十分の場合は議員も処罰される仕組みだが、「確認したが気づかなかった」と言い逃れできるとの見方もある。特別委の終了後、立憲民主党の笠浩史氏は記者団に「連座制もどきの内容だけが発表され、肝心の企業・団体献金と政活費の考え方すら示さず、やる気が感じられない」と批判した。  公明の石井啓一幹事長は記者会見で、自民と協議中の与党案に、公明が求める政活費の使途公開が盛り込まれるかどうかについて「今後の協議次第」と述べるにとどめた。(井上峻輔、大野暢子) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。