全国の信用金庫でつくる「よい仕事おこしネットワーク」(事務局・城南信金)は26日、東京都内で「第3回全国首長サミット」を開いた。人口減少や少子高齢化が進み、各地で深刻化している人材不足や農林水産業の活性化といった課題をデジタル技術で解決する方法について、多彩な事例発表があった。(我那覇圭)

デジタルの活用などを議題に行われた「よい仕事おこしネットワーク全国首長サミット」

◆全国から13市区町の首長らが参加

 よい仕事おこしネットワークと連携協定を結ぶ全国の自治体から13市区町の首長らが参加した。  東京都港区の武井雅昭区長は区民からの質問に対し、人工知能(AI)が区のホームページにある関連情報を自動的にまとめて回答する独自のサービスを紹介した。川崎市の福田紀彦市長は、市民が歩いてためたポイントを市立小学校などへの寄付金に充てるアプリを報告した。  千葉県館山市の森正一市長は地元の信金などの協力で、古民家をテレワークができるように改装し、都心からの人材の呼び込みにつなげていることをアピール。静岡県伊豆の国市の山脇裕之副市長は、災害時に各地の被災状況や空いている避難所などをすぐに知らせられるようにした市の公式LINEを披露した。  城南信金の川本恭治理事長は「円安や資源価格の高騰で、信金の顧客の中小企業は苦労している。自治体の知恵を借りて解決したい」と訴えた。来賓で自見英子地方創生担当相も出席した。  よい仕事おこしネットワークによる地域連携プロジェクトの一環で、各自治体の特産品を使ったクラフトビールの売り上げの一部を寄付する目録も、館山市や伊豆の国市など9自治体に贈られた。   ◇ 

デジタルの活用などについて意見交換が行われた「よい仕事おこしネットワーク全国首長サミット」

◆地域活性化へ好事例を共有しあって

 「よい仕事おこしネットワーク」と連携する首長で構成する「全国首長サミット」は、各自治体で地域活性化の先頭に立つ首長同士が情報交換し、好事例を共有して課題解決につなげることを目指している。  昨年5月に開かれた第1回全国首長サミットでは、全国20市町の首長らが討論。全国の信金がつながる同ネットワークを活用して自治体に新たな取引や販売を仲介する「マッチング」に期待する声が相次いだ。議論を踏まえ、首長サミットは「よい仕事おこしネットワークとの連携により、地域の枠を超えた課題解決のため、地域活性化に全力で取り組む」とする共同宣言をまとめた。  第1回会合では、首長同士の研究会を設立することも決めた。研究会は「地域課題解決協議会」として昨年7月に発足。定期的に地域活性化の成功事例を学び、連携を深めている。  第2回全国首長サミットは昨年11月、「2023よい仕事おこしフェア」に合わせて開かれ、全国14市町の首長らが参加。「人手不足を乗り越えるには」をテーマに、地域産業への人材誘致などそれぞれの取り組みを発表した。(清水俊介) 

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