能動的サイバー防御のイメージ

 政府は、サイバー攻撃に先手を打ち被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を巡り、5月にも有識者会議を初開催する方向で調整に入った。法的課題を整理し、官民連携の方策を検討する。政府機関や民間重要インフラに対するサイバー攻撃の脅威が増す中、欧米並みのサイバー防衛強化を目指す法整備が始動する。複数の政府関係者が30日、明らかにした。

 能動的サイバー防御は攻撃側サーバーに侵入して無害化を図る対応を想定している。憲法21条や電気通信事業法が規定する「通信の秘密」を侵害する可能性が指摘され、検討は難航が予想される。インターネット空間の監視につながりかねないとの懸念もあり、丁寧な議論が求められそうだ。

 政府は、有識者会議の議論に併せて与党との調整も進める考えだ。早ければ秋の臨時国会での関連法案提出を見据える。

 議論の柱は法整備の在り方だ。通信システム侵入時における不正アクセス禁止法抵触の懸念や、サーバーを無力化するウイルスを作成する場合は刑法の不正指令電磁的記録作成罪との関連を整理する必要がある。

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