◆岸田政権は危機への対応が遅すぎる
衆院3補選について語る久米晃氏
―補選は全敗だった。 「驚きはない。個々の事情はあるが、全体的には政治とカネの問題で、自民への逆風が予想以上に強かったということだろう」 ―自民が読み誤ったか。 「今回の選挙で、ということではなく、昨秋以来、岸田政権はこの問題への対処を誤り続けている。例えば処分も先延ばしした上に中途半端だった。危機への対応が遅すぎるのではないか。首相は『結果を出す』と言い続けているが、何一つ結果が出ていない。支持率は回復しようがない」◆襟を正さぬトップ、声を上げぬ若手
―自民は政治改革にも消極的に見える。 「本来は1989年の党政治改革大綱を守っていれば、今回の問題は起こらなかったはずだ。一番上に立つ人が襟を正さないから下も守ろうとしない。一方で30年前の政治改革の時のように、若手議員が声を上げることもない」 ―その理由は。 「昭和20年8月15日(終戦)を経験していない人が政治の中心になり、政治に対する志や使命感が薄れてきてしまっているのではないか。今は、明治維新が忘れられた大正・昭和初期の時代と共通項があると思っている。もう一つは選挙制度。無所属での立候補は制約が大きく、志のある人が出づらい一方、政党には世襲議員が増えてきている」◆自民支持者は納得できる人でなければ投票しない
―思い切った改革をすれば支持は回復するか。 「難しいのではないか。今、首相の交代を望む世論が大勢になりつつある。大型連休明けに自民内で何らかの行動が起こらなければ、次期衆院選で厳しい結果になる。首相は解散について『全く考えていない』と強く否定し、自分で解散権を封じたということだろう。そう思われても仕方がない状況だ」 ―菅義偉前首相から、顔を変えて大勝した2021年衆院選の再現か。 「一度失った信用は簡単には戻らない。国民が(自民に)舌打ちしたくなる状況が何年も続いている。リーダーを代えて議席減をどれだけ抑えるかという話だ。自民の支持者は保守的無党派層。自民候補でも、信用できて納得できる人でなければ、投票しない」久米晃(くめ・あきら) 1954年、愛知県東浦町出身。80年、自民党職員に。2002年から選対部長、11年党事務局長。19年に定年退職し、現職。
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