【リマ=三木理恵子】石破茂首相は15日(日本時間16日午前)、訪問先のペルーで中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。日中両国が共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」に基づき、包括的な協力方針を話し合う。首相は中国軍による東・南シナ海での軍事活動といった懸案も取り上げて対応を促す。
日本の首相と習氏の会談は2022年11月に3年ぶりに開いて以来、3年連続となる。石破首相が習氏に会うのは初めて。ペルーで開催中のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて機会を設けた。
首脳を含むハイレベルの対話を推進し、意思疎通できる関係を強固にすると確かめる。25年に日本で開催を見込む日中韓首脳会談に向けて李強(リー・チャン)首相の来日も調整する。
日中は懸案を抱えつつも経済や人的交流で協力を広げようとしている。中国は日本にとって最大の貿易相手国で、日中間の貿易・投資といった経済関係は緊密だ。環境やヘルスケアなどの国際的な課題は中国の協力が不可欠で、日本は連携を求めていく。
日本政府は11月の習氏との会談に向けて環境整備を進めてきた。李氏とは5月に当時の岸田文雄首相が、10月には石破首相がそれぞれ第三国で会談した。
今回の首脳会談では2国間の懸案も扱う。石破首相はかねて中国の不透明な軍事力強化や東・南シナ海での海洋進出を問題視してきた。大国として地域の安定に貢献すべきだと伝える。
中国軍は8月、日本の領空を初めて侵犯し、9月には空母「遼寧」が日本の接続水域を初航行した。首相は相次ぐ軍事活動に懸念を表明する。習指導部が武力統一を否定しない台湾に関し、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調する。
北朝鮮がロシアに兵士を派遣した問題も扱う可能性がある。
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を受け、中国が23年夏から全面停止している日本産水産物の輸入再開の道筋も議題になる。国際原子力機関(IAEA)の処理水採取に中国が参加して段階的に進めていく予定で、日本は習氏から確約を得たい。
9月に広東省深圳市で日本人学校に通う児童が刺殺された事件を巡り、首相から原因究明と邦人の安全確保を求める。中国で拘束されている日本企業の従業員らの即時解放も要請する。
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