日本経済研究センターと日本国際問題研究所は16日、都内で日米の政府高官や有識者らが国際問題を話し合う第11回「富士山会合」を開いた。自民党の小野寺五典政調会長は日米地位協定の改定を念頭に、北マリアナ諸島のテニアンに共同の演習場をつくる検討をしていると明らかにした。
「日米同盟、次のステップ」をテーマとした討論に参加した。バイデン米政権で東アジア・オセアニア地域を担当する米国家安全保障会議(NSC)のミラ・ラップフーパー上級部長や、海軍退役中将で米防衛大手ノースロップ・グラマンのアジア太平洋地域バイス・プレジデント、フランク・モーリー氏と意見を交わした。
小野寺氏は「日本が一定の費用負担をすることで、日本も米国の演習場を継続的に使えるように努力していきたい」と述べた。自衛隊は沖縄県の米軍基地の負担を軽減する方策としてグアムへの移転を進めている。
石破茂首相は9月の自民党総裁選で、在日米軍の扱いを定める日米地位協定の見直しについて言及していた。小野寺氏は日本の部隊が米国の演習場を使うことになると常駐の部隊が必要になると指摘し「初めて逆の意味での地位協定を求めるということになる」と説明した。
地域協定の改定論を巡る首相の発言については、日米双方が地位協定の問題に向き合うことで「対等な立場で話しあう一歩につながればと思って話したのではないか」と話した。
能動的サイバー防御などサイバーセキュリティー分野での法整備については「ある程度の方向が見えてきた」と語った。各党の政策責任者を含めて協議し、早期成立を目指すと言明した。
討論ではラップフーパー氏がバイデン政権の政策に関し「インド太平洋戦略で達成しようとした項目はほぼ成功した」と振り返った。日本政府による防衛費増額などを念頭に「日本の国家安全保障戦略と防衛政策の完全な転換を目の当たりにした」と評価した。
台湾海峡や朝鮮半島の有事への備えに関して「まだ長い道のりがある」と指摘した。日米共同で10月に実施した南西諸島での退避訓練に言及し、日米間の迅速な意思決定や協力を高める取り組みを今後も継続する必要があると強調した。
モーリー氏は日米で防衛産業の協力が進展していると評価した。「輸出規制の緩和にはまだ課題がある」と述べ、法的な措置を引き続き改善するよう日本に求めた。「産業協力が後れを取れば、現場に必要な技術の導入も後れを取る」と語った。
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