記者会見する経団連の十倉雅和会長(20日、石川県七尾市)

経団連の十倉雅和会長は20日、「年収の壁」対策として労働者側の社会保険料負担を会社が肩代わりする厚生労働省の案に疑義を呈した。「かえっていろんな格差を招くことになるのではないか」と述べた。石川県七尾市での記者会見で語った。

企業により多い負担を求めるのは不公平だと批判した日本商工会議所の小林健会頭に理解を示し「よく吟味した方がいい」と話した。「『106万円の壁』を取っ払うときにまた違う細則を入れようとしているように思える」と指摘した。

厚労省は社会保険料が発生する106万円の壁を撤廃し、厚生年金の保険料の負担割合を労使折半ではなく柔軟に変更できる案を示した。働き控えを防ぐ狙いがあるが、労使の負担割合が1対9や3対7など企業間で割れる可能性がある。

十倉氏は所得税の納付が必要になる「103万円の壁」にも言及した。与野党で広く「社会保険の壁や財政の問題もトータルで議論してほしい」と求めた。自民、公明、国民民主の3党が103万円の壁の引き上げなどで合意したのを受けて発言した。

十倉氏は同日、地震と豪雨災害に見舞われた石川県能登半島の被災地を視察した。北陸経済連合会との会合で「復旧・復興や防災力の強化をはじめ待ったなしの課題が山積しており、石破政権には課題解決への真摯な取り組みを期待する」と訴えた。

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