政労使会議で発言する石破首相(26日、首相官邸)

政府は26日、石破茂政権では初となる政労使会議を首相官邸で開いた。2025年春季労使交渉(春闘)に向け、物価上昇を上回る賃上げの実現や中小企業支援策などについて意見交換した。石破首相のほか、経団連の十倉雅和会長や連合の芳野友子会長らが出席した。

首相は会議の最後に「高水準の賃上げとなった今年の春闘の勢いで大幅な賃上げの協力をお願いする。雇用の7割を占める中小企業や地方にも行き渡ることが重要だ」と述べた。賃上げの流れが地方に波及するよう47都道府県ごとに政労使会議を開くことも求めた。

首相が公約とする最低賃金を20年代に全国平均1500円に引き上げる目標も議論した。従来の30年代半ばから20年代に前倒ししたことで、経済界には警戒感が広がっている。

首相は「本日の意見も踏まえ問題の深掘りや環境整備をしたい」と語った。引き上げに向けた対応策をまとめるよう、赤沢亮正経済財政・再生相ら関係閣僚に指示した。

経済界からは経団連のほか、日本商工会議所の小林健会頭、全国中小企業団体中央会の森洋会長、全国商工会連合会の森義久会長が出席した。

政労使会議は13年に当時の安倍晋三首相が設置し、15年まで開いた。安倍氏が賃上げを要請し「官製春闘」と呼ばれた。岸田文雄前首相は23年に8年ぶりに復活した。賃上げ税制の拡充や中小企業の価格転嫁支援などが奏功し、24年春闘の賃上げ率は33年ぶりの高水準となった。

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