政治改革で企業・団体献金の扱いが最大の争点に浮上してきた。石破茂首相は2日、企業献金を容認する方針を示し、立憲民主党の野田佳彦代表は禁止を迫った。国民民主党を含む野党は使途の公開義務がない政策活動費の廃止へ法案を共同提出する方向で調整に入る。
野田氏は2日、衆院本会議での代表質問で企業・団体献金の禁止に関し「改革の本丸」と位置づけ、首相に決断を求めた。首相は「不適切だとは考えていない」と明言し、容認する立場を改めて鮮明にした。11月28日には首相と面会した岸田文雄前首相も企業献金の禁止に反対する考えを伝えていた。
自民党は企業献金について有識者に議論を求めたうえで結論を出すべきだと唱える。与野党がおおむね一致する年内の政治資金規正法の再改正に向け、企業献金を項目から外す思惑が透ける。公明党も有識者の議論に委ねるべきだと足並みをそろえる。
自民党の森山裕幹事長は2日の記者会見で有識者への聴取を巡り「年内が無理であればしっかり議論を重ねることが大事だ」と話し、越年の可能性を示唆した。自公は与野党で考え方がおおむね近いテーマに絞る方向で議論を進める。
自民党は企業献金を巡り国民民主の取り込みを探る。国民民主は立民案に関し、業界団体などがつくる政治団体を禁止の対象とせずに抜け穴があると苦言を呈す。年内の再改正を重視し、企業献金の扱いの先送りを排除していないと自民党は期待する。
立民は野党で結束し、企業献金の禁止を自公に迫る戦略をとる。2日に国会内で政治改革推進本部の総会を開き、野党で一致できた内容から政治資金規正法の再改正に向けた野党案を国会に提出する方針を確認した。
11月27日の野党間での協議で日本維新の会と共産党の3党は禁止に向けて再改正案を共同提出する方針で一致した。3党は与野党協議を重視して参加しなかった国民民主にも働きかけを続ける。
国民民主は企業献金の禁止について「野党が一致したら賛成する原点に戻る」との認識を示している。法案成立前から自主的に献金を受け取らないようにするなど、他の野党に賛成する条件を提示している。
使途の公開義務がない政策活動費の廃止では、国民民主を含む野党協力が視野に入る。
国民民主の玉木雄一郎代表は2日のBS日テレ番組で「政策活動費の廃止法案については共同提出するときょう決めた」と明言した。野党は支出の使途公開に例外を設けず、完全に廃止する方向性で一致している。
自民党は細部で野党と隔たりが残る。首相は2日に「政策活動費は廃止し、自民党として法案を提出する」と断言した。一方で外交秘密に加え、支出先のプライバシーや営業秘密に配慮する必要がある場合は「公開の方法に工夫が必要だ」と発言した。
自民党内には政治資金をチェックするため新しく設ける第三者機関での監査にとどめる案がある。野党は新たな「裏金」の温床になりうると批判する。公明党も政策活動費に関して野党の立場に理解を示し、自民党に修正の圧力がかかる。
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