【フランクフルト=林英樹】経済協力開発機構(OECD)は11日、2023年の世界の政府開発援助(ODA)実績が22年比2%増の計2237億ドル(暫定値、約34兆2000億円)だったと発表した。ロシアによるウクライナ侵略などに関する支出額が伸び、5年連続で過去最高を更新した。
ウクライナへのODAは9%増の200億ドル。このうち越冬のための電力供給支援や食糧援助など人道支援は32億ドルに上った。パレスチナ自治区ガザへのODAも14億ドルと12%増えた。世界全体では人道支援が5%増の259億ドルに達した。
OECDの開発援助委員会(DAC)加盟各国がウクライナなどからの避難民受け入れに使ったODAは310億ドルと6%減ったものの、ODA全体に占める割合は14%と高水準だった。
DACによると、加盟31カ国の援助規模は米国、ドイツ、日本、英国、フランスの順に大きかった。日本の援助額は196億ドルで、前年と同じく金額ベースで3位だった。
日本の国民総所得(GNI)に占める援助額の比率は0.44%。前年の0.39%から上昇し、順位も16位から12位に上がった。対GNI比率のトップはノルウェーの1.09%だった。
DAC加盟国平均の対GNI比率は0.37%。国連の長期目標である0.7%を上回ったのはドイツやデンマーク、ルクセンブルクなど5カ国のみだった。
OECDのマティアス・コーマン事務総長は「成長の鈍化と債務返済コストの上昇から発展途上国は財政圧力に直面している」と指摘。気候変動対策など長期課題の解消に向け支援拡大が必要だと訴えた。
日本政府は23年6月、ODAの戦略をまとめた「開発協力大綱」を改定した。その中で相手国の要請を待たず、戦略的に支援を打ち出すオファー型ODAを推進するとした。
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