参院憲法審査会は8日、今国会で初の実質的な審議となる自由討議を行った。公明党の西田実仁参院会長は「参院は定数の半数であっても継続性、安定性が現行憲法で確保されており、緊急集会は成立する」と述べ、緊急事態が発生した場合でも参院議員の任期延長は不要と明言した。公明は、衆院憲法審で任期延長に向けた改憲の必要性を主張しており、衆参で党内の意見の不一致が表面化した。

◆「繰り延べ投票ではなぜだめなのか」

 西田氏は、選挙の実施が困難な緊急事態時の任期延長に関する議論の充実を求めた上で、「(天災などで期日を延期する)繰り延べ投票ではなぜだめなのか判然としない」と任期延長を疑問視。「民主的な正当性を確保するのには選挙が肝要だ」と指摘した。

開かれた参院憲法審査会

 4月の衆院憲法審では、公明の北側一雄副代表が「改憲案のたたき台を作成して議論を深めていくべきだ」と発言するなど、任期延長を繰り返し訴えていた。  自民の佐藤正久氏は8日の自由討議で、憲法で定められた参院の緊急集会を取り上げ、緊急事態対応の改憲に向けて「早急に検討を始めなければならない」と述べた。日本維新の会の片山大介氏は、議論を重ねるために審査会の開催頻度を増やすことを提案した。  立憲民主党の辻元清美氏は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で参院の政治倫理審査会に出席していない議員が29人いることを踏まえ、「国民の信頼回復なくして憲法論議はない」と強調した。  国民民主党会派の大塚耕平氏は、国際情勢の変化に伴う課題を列挙。共産党やれいわ新選組からは、現行憲法を守ることから始めるべきだとの意見が相次いだ。(三輪喜人) 

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