東京都の子育て・教育施策をめぐり、埼玉、千葉、神奈川の各県知事が「財政状況の違いから、地域間格差が生じている」と国に是正措置を求めたことを受け、小池百合子知事は10日の定例会見で、3県の主張に反論した。「行政サービスの違いは、地域ごとのプライオリティーの問題。財政力の格差を原因とする主張は、地方自治の否定につながる」と訴えた。
3県の知事は7日、文部科学省、こども家庭庁、総務省の各大臣に提出した要望書で、都が高校授業料の実質無償化の所得制限撤廃や、0~18歳の子どもへの月5千円給付などの独自施策を行うことで、周辺自治体と格差が生じていると主張。都の財政状況について「経常収支比率が全国で最も低く、自由に使える財源が潤沢」などと指摘し、自治体の財政状況で子育てや教育に格差が生じないよう「国の責任と財源で必要な措置を講じること」を求めた。
こうした主張に、小池氏は「事実誤認がある」と反論した。例に挙げたのが、道路や港湾整備費用といった「投資的経費」。経常収支比率を算出する際に用いる経費には、含まれていない。都によると、2022年度決算の投資的経費は、3県では各1637億~1939億円だったが、地価が高い都では4倍超の7806億円だった。
小池氏は「経常収支の比率だけをご覧になって、財源が潤沢という指摘は全くファクトではない」と指摘。都は事業見直しによって財源を捻出し、国が施策を講じるまでの対応であるとの立場を改めて強調した上で、少子化対策や災害への備えなどは「都道府県が一致団結して取り組む必要がある」と訴えた。(本多由佳)
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