自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正について議論する参院政治改革特別委員会が10日、初めて開かれ、与野党各党が意見を表明した。自民は国会議員の責任を厳格化する「連座制」導入などをうたった与党案の内容を説明。これに対し、立憲民主党など野党は「中途半端」「不十分」などと一斉に批判し、企業・団体献金の禁止などの抜本改革に踏み込むよう迫った。
衆院政治改革特別委は各党の意見表明を先月26日に行っており、来週にも議論を本格化させる。自民は今国会中に規正法改正を実現し、国民の信頼回復につなげたい考えだが、苦しい対応を迫られそうだ。
自民の磯崎仁彦氏は与党案について、政治資金パーティー券購入者の公開基準引き下げ、政党が党幹部らに支給する政策活動費の使途公開などを盛り込んだと強調。野党が求める企業・団体献金の禁止に関し「政治にはカネがかかる。政治資金の多様性が必要だ」と否定的な考えを示した。
公明党の里見隆治氏は、党としてはパーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5万円超」に引き下げ、政策活動費の使途に関する明細書作成を義務付けることを提案してきたと報告。基準額を「10万円超」に、使途公開を大まかな項目にとどめたい自民との違いをアピールした。
一方、立民の小沼巧氏は与党案の「連座制」について「不十分で実効が乏しい。『なんちゃって連座制』だ」と酷評。政策活動費の使途公開に関しても「踏み込みが中途半端だ」と切り捨てた。さらに「パーティーや企業・団体献金の禁止が本質的な解決策たり得る」と主張した。
日本維新の会の高木佳保里氏は与党案について「われわれが求める改革とはほど遠い」と指摘。「今の政策活動費は廃止し、可能な限り使途を公開する新たな制度をつくるべきだ」と述べた。ただ、情報公開の範囲拡大が担保されるなら「歩み寄っていきたいとも考えている」として立民の対応と一線を画した。
国民民主党の浜野喜史氏は「自公の合意内容は不十分と言わざるを得ない」と語った。共産党の井上哲士氏は「根本的改革を実現するには裏金事件の全容の徹底解明が不可欠だ」とし、安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相らの証人喚問を要求した。れいわ新選組の舩後靖彦氏と参院会派「沖縄の風」の伊波洋一氏も見解を述べた。
各党の意見表明が行われた参院政治改革特別委員会。中央右は自民党の磯崎仁彦氏=10日午後、国会内
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