災害など緊急時の国の指示権拡大を盛り込み、国会で審議中の地方自治法改正案を巡り、東京都杉並区など9自治体でつくる「自治体スクラム支援会議」は17日、運用基準の明確化などを求める要請書を、松本剛明総務相宛てに提出した。杉並区の岸本聡子区長と静岡県南伊豆町の岡部克仁町長は提出後の取材に「自治体を、災害時に国の指示がないから動けないという体質に変えてしまう」との懸念を訴えた。

地方自治法改正案への要請書について話す岡部克仁・静岡県南伊豆町長(左)と岸本聡子・東京都杉並区長

 要請書では「国と地方の対等・協力の関係を踏まえ、法案が可決された場合も運用に十分な配慮が必要」などと主張。指示の際は国が自治体と事前に十分な協議や調整をすることや、運用基準の明確化を求めた。  総務省行政課の担当者に面会後、岸本区長は「平時から緊張感を持って自治体連携などに取り組んでいる。改正されれば、自治体がこうした関係づくりをやらなくなる可能性がある」と指摘。岡部町長は1974年の伊豆半島沖地震で、全国の自治体からいち早く支援を受けたといい「国が主導権を握り、自治体が速やかに動けなくなることを危惧している」と話した。  支援会議は2011年の東日本大震災を機に、杉並区と災害時の相互援助協定を結ぶ自治体で発足。福島県南相馬市や群馬県東吾妻町、東京都青梅市などが参加している。(奥野斐) 

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