衆参両院の正副議長は17日、与野党各党の代表者らを衆院議長公邸に集め、安定的な皇位継承に向けた皇族数確保策に関する協議をスタートさせた。政府の有識者会議が示した2案を軸に、皇室典範改正を視野に議論を進める。額賀福志郎衆院議長は「今国会中の取りまとめを目標に力を尽くしたい」と表明した。今国会会期末が6月23日に迫る中、各党の隔たりを埋められるかが焦点だ。

協議には自民党から麻生太郎副総裁、立憲民主党から野田佳彦元首相らが出席し、それぞれ見解を表明した。林芳正官房長官も同席した。額賀氏はこの後の記者会見で「立法府の総意の取りまとめに向けて尽力したい」と述べた。週1回のペースで議論する予定で、次回は23日に開く。

有識者会議は2021年に(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持(2)旧宮家の男系男子が養子として皇籍に復帰―の2案を提示。この2案で皇族数を確保できない場合は、皇統に属する男系男子を法律によって直接皇族とする案も示した。

自民は17日の協議で、有識者会議の2案はともに「必要」だとする見解を説明。公明、国民民主両党も2案に賛同した。日本維新の会は男系男子養子案を「特に高く評価」する一方、女性皇族身分保持案については女系天皇につながりかねないとの声に十分に留意するよう求める立場を示した。

これに対し、立民は、有識者会議のきっかけとなった国会の付帯決議が安定的な皇位継承策や女性宮家の創設に関する検討を政府に求めていたことを踏まえ、「要請に十分に応えたとは言えない」と政府を批判。野田氏は記者団に「『国家千年の計』に関わる。拙速にやるべきではない」と意見集約を丁寧に進めるようクギを刺した。

共産党は「天皇を男性に限定する理由はない」として女性・女系天皇を認めるべきだと主張した。

記者会見する衆参正副議長。中央右は額賀福志郎衆院議長。同左は尾辻秀久参院議長=17日午後、東京・永田町

皇族数確保策に関する与野党代表者の協議=17日午後、東京・永田町

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