トヨタ自動車と出光興産、ENEOS(エネオス)、三菱重工の4社が27日、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするための「カーボンニュートラル(CN)燃料」の導入に向けた共同プロジェクトを始動すると発表した。脱炭素推進の流れのなかで、世界的に電気自動車(EV)市場が拡大するが、CN燃料が普及すれば日本のメーカーが強みを持つ内燃機関(エンジン)搭載の自動車も需要が維持される。4社は2030年ごろの国内市場導入を目指す。
CN燃料は、水素と二酸化炭素(CO2)を化学反応させて作る合成燃料「e-fuel(イーフュエル)」や植物由来のバイオ燃料など、CO2の排出を抑えられる燃料だ。既存のエンジンやガソリンスタンドなどのインフラが活用できることが大きなメリットとして考えられている。
4社は今後、30年の国内市場導入に向けた共通のロードマップを作成し、実現可能性について検討・調査する。
4社のうち、出光は今年5月、南米や北米、豪州などでCN燃料の開発を行う「HIF Global」(米国)に出資し、国内外でサプライチェーン(供給網)構築を進める。トヨタはCN燃料対応のエンジン開発を進めており、ブラジルでは07年からバイオ燃料とガソリンの混合燃料で走る自動車(フレックス燃料車)を導入している。
国際エネルギー機関(IEA)によると、23年の世界のEVの新車販売台数は1380万台で、前年比で35%増えた。一方で、30年のEV販売シェアは最大でも65%にとどまり、一定程度はエンジンを搭載した自動車が維持するとも予想している。【秋丸生帆】
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